本読みの感想(ネタバレあり)を中心に、日々のことごとを。
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神か悪魔か(神の守り人)
2006年12月13日 (水) | 編集 |
上橋菜穂子『神の守り人』来訪編/帰還編 読了。
シリーズ初の2巻もの。
そのボリュームに比例してか、移動距離が長い。
そしていつも以上にバルサが傷を負う。
というか、ほとんど無傷の期間がない。
派手なアクションの連発で、いかにもシリーズの主人公!というところだが、
実はかなり脇役っぽいポジションだったのが面白かった。
かといって真の主役アスラも全然ヒロインらしからず、
ほとんど受身(移動に関しては荷物扱い)だったのも。
本人の意思はまったく関係なく、
一方からは救世主としてあがめられ、一方からは悪魔として暗殺されそうになる、
運命に巻き込まれていくさまが、そこに表れている。

今まで、主要人物に関してはハッピーエンドな終わり方がパターンだったが、
初めて「ハッピー」とは言いがたい結末を迎えた者が出た。
(もっとも、まだ“過程”であって“結末”はこれから、かもしれないが)
テーマも重い。
人はけっして平等ではないということ。
その不平等のもとにある信仰、富と貧困、差別、利害……
人は等しく尊いのだといいながら、
生まれや住む場所によって、貧富の差や身分の差ができ、
それに縛られていくという矛盾。
ゆえに人々の心の底に沈殿していく、恨みと怒りと悲しみと、そして殺意。
何百年も前の「伝説」は、解釈によって「正義」も違う。
もはや絶望的に回復しようもないと思われる状況に、
それでもなんとか活路を見出したいともがく人々。
実際、物語中でもなにも解決はできていないが、
せめて己の心だけは尊くあろうとする勇気が一筋の希望の光、といったところ。
その勇気を持つことは、ひどく苦しく、孤独な戦いのようで、
実は多くの人に支えられてかなえられるのだ、ということ。
それを示したのが幼いアスラとチキサなだけに、最後が切ない。


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