本読みの感想(ネタバレあり)を中心に、日々のことごとを。
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日本神話ハイ・ファンタジー(空色勾玉)
2005年09月18日 (日) | 編集 |
荻原規子『空色勾玉』読了。

まいったな。
児童文学やファンタジーが好き、上代神話が好き、
なんて、恥ずかしくてもう言えない気分だ。

日本神話を下敷きにしているにもかかわらず、物語の独創性が高い!
時代がかった雰囲気が、ファンタジーの異世界感をうまく醸し出しているし、
だからといって、なんでもありな世界ではないところもよい。
本来敵味方であるべきロミジュリ的なふたりが、運命に引き寄せられるように惹かれ合う。
ふたりが、この先どうなるのかと興味と心配と、好意をもたらせてくれる。
主役のふたりだけでなく、準主役も脇役も、それぞれの思いを胸に舞台を駆けめぐる。
誰かが正しく、誰かが間違っているのではなく、それぞれが自分のよかれと思うことをする。
好きなものを、守りたいと模索する。
キャラクターはみな、すばらしく魅力的だ。
ストーリーも、適度に意外性があって、飽きさせない。
まさに、作者自身の言うとおり「日本のハイ・ファンタジー」だ。
(なんとなく「和風の」というのは違う気がする)

ベースとなっている神話は、イザナキ・イザナミの国造りから、アマテラス・ツクヨミ・スサノヲの三貴子まで。
神々の名は、上記とは異なるので、もちろんまったくそのままというわけではない。
しかし、うまくそれぞれの特徴をくみ取って、作品に生かしている。
一番の驚きは、暴れん坊として有名なスサノヲを、おとなしくやさしい者として描いていること。
末の弟というからには、これはスサノヲだろう、と見当をつけて読むのだが、どうも勝手が異なり、やや困惑してしまう。
が、物語大詰めで、きっちり荒ぶる神としての側面を出してくる。
なるほど、スサノヲをそう捉えるか、と感心した。

輝の大御神(イザナキ)、闇の大御神(イザナミ)と、「天津神」「国津神」の関係もおもしろい。
大和が諸国を平らげていく理由も、不死である輝の一族がいずれ人になじんでいくことも、うまく解決されていく。
ほんとうに、うまい。

もちろんこの作品は、研究書ではない。
神話の解釈について云々するのは本来の読み方ではないが、少々マニアックにも楽しめてしまうのだ。

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