本読みの感想(ネタバレあり)を中心に、日々のことごとを。
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青春の「無償」で「考える」時間(夜のピクニック)
2007年07月29日 (日) | 編集 |
すっかりご無沙汰しております。
その後、それなりのペースで本は読んでおりますが・・・

ごく最近読んだ本から。

◆恩田陸『夜のピクニック』
本屋大賞を受賞した作品。
気になっていたのだけれど、やっと手を出した。
もっと早く読んでおけばよかったよ!

なんだろう、この「ふつう」な感じは。
丸一日かけて、80kmを歩き通す、という学校行事。
たったそれだけのネタなんだけど、
高校最後の行事にかける、キャラたちの思いが実にリアルに伝わってくる。
ああ、そうだ、若いってこういうことだ。
クサイかもしれないが、青春ってこういうことだ。
ただ歩くだけ、それがどうしてこんなに特別なのか。
いや、ただ歩くだけだから、特別なんだろう。

歩くだけ、淡々と。淡々とした時間だからこそ、悶々と考える。
独白が多い構成に、共感が強まっていく。
そうだ、あの頃、きっとわたしもこんな風だった。
「考える」ことを手放したのは、中学3年のときだったが、
そのなんて愚かしかったことか。
(このことは、常日頃から思ってはいるのだけれど。
 早く取り戻さねば、と思うのだけれど、でも、どんなに頑張っても、
 もう二度とあの頃のように考えることはできないのだとわかってもいるわけで)

高校時代。
とても不確かで不安定な自分。
それでいて、内側からはじけてくるようなエネルギー。
友を思い、友と過ごし、友とぶつかって、そうして得たかけがえのないもの。
あの頃の友人が、いまもわたしの周りにいてくれることを感謝する。
そして、いまも顔を合わせれば、あの頃ほどではないけれど、
お互いのために「無償で」盛り上がれる、大切な存在。
その存在を得るために、入学当初、どれほどの緊張をしたことか。
新しい環境に飛び込んでいく、それが当時の自分のとって、
どれほど勇気と努力が必要で、大事件だったことか。
そういうことが、ありありと、思い出された。


…と、まあ、ついつられて独白モードになってしまう。
わたしのなかで失われつつある「考える」時間、
つまり、自分の内側に目を向ける時間を、少し取り戻してくれた。
わたしにとって、またひとつ、大切な作品が増えることになったようだ。