本読みの感想(ネタバレあり)を中心に、日々のことごとを。
本読みあれこれ(シランさん、逆説6、守り人&旅人、神々と仏、ハチクロ、バッテリーV、穢土荘厳、聖書物語)
2006年12月03日 (日) | 編集 |
またまた大変ご無沙汰してました。
これより復帰します、たぶん(←自信ないんかい!)

というわけで、サボり中に読んだ本より。

谷川俊太郎・文/いせひでこ・絵『かさをささないシランさん』
平和とはなんだ。自由とはなんだ。
自分を守ることと、他人を信じること。
当たり前だと思っていることが、実は当たり前ではないかもしれないということに、いつ気づくのか。
声高にではないが、深く心に訴えてくる。
今、わたしたちの周辺には不穏なことごとが迫りつつあるが、その不穏を生み出そうとしている人々に、ぜひ読んでみてもらいたい。

井沢元彦『逆説の日本史(6)中世神風編 - 鎌倉仏教と元寇の謎』
「仏教」の多面性を少し理解できた気がする。
昔から、ブッダ(ゴータマ)の悟りと、日本における仏教とがあまりに別物みたいで、結びつかなかったが、なんとなく解った。
当然といえば当然だが、年月と、距離と、民族性がこれほどに思想を変えるのだ。
変化の過程がはじめてわかって、面白かった。
それから、なぜ日蓮に対する特別なイメージのわけも理解。
まだまださわりだけだが、奥は深い。

上橋菜穂子『闇の守り人』
上橋菜穂子『夢の守り人』

用心棒バルサの活躍は続く。
ちゃんと1作ずつ完結しているのに、
前作のキャラをうまく絡めて、無理なく展開しているのが心地よい。
適度にご都合主義で、適度にスーパーマンぶりを発揮していて、王道なとこころも心地よいかと。

上橋菜穂子『虚空の旅人』
「守り人」シリーズの番外編、皇子チャグムのお話。
チャグムがちょっと有能・優秀すぎるかなーとは思う。
しかし、立場と本音にゆれる心が痛々しい。
彼は、今は押し殺している本音とうまく折り合いをつけて、新しいタイプの為政者となりえるのか。
賢いけれど、バルサのように万能ではないところに、別の面白みがある。

岩井宏実監修『日本の神々と仏〜信仰の起源と系譜をたどる宗教民俗学〜』
最初は「民俗学」っぽかったのに、
途中からただの神仏紹介みたいになってしまい、
果ては冠婚葬祭マナー本みたいな部分のつまみ食いみたいになってしまったのが残念。

羽海野チカ『ハチミツとクローバー』全10巻
好きだった人、好きな人、好きになれそうな人、のことを想い浮かべて、胸がつまる。
でも、片思いぐるぐるの話し、というふりをして、実は才能の有無、家族、友達、将来、夢と現実、存在理由……人生の苦しみを描いているところが、この作品のせつなさのゆえんだと思う。
これ、挟み込まれているギャグがなかったら、辛すぎて読めないよ。

あさのあつこ『バッテリーV』
「姫さん」発言がいいかげんうるさいので、豪と巧にはがんばってほしいものだ。
とりあえず、嵐の前の静けさなのか、安定期。
個人というよりも、チーム対チームの構図がより強まった。
巧がいい子ちゃんで物足りないのと、豪が鬱展開でつらいなあ。
次巻あたりでは、大きな展開を期待したい。

杉本苑子『穢土荘厳』(上・下)
これ、大河ドラマでぜひやってほしい。
「天皇」と「血族」という日本独特の政治体制。
聖武天皇の治世をメインに、その大きなひとつの転換期を描いた作。
庶民から天皇まで時代の波に飲まれながら、何を考え、どう生きたのか。
さもありなん、と思わせてくれるところが、面白い。
もちろん、ほとんどが作者の想像によるわけだが、大胆に「断言」する書きっぷりが快活。
歴史小説の醍醐味だろう。
また、日本語の表現の豊かさを見せつけてくれた。
こういう巧みな文を書く人は、きっともう生まれないのではなかろうか、とさえ思う。

山室静『聖書物語』
エホバの神様って、かなり独善的で排他的なのね。
まずそこに驚き。
絶望的に絡み合ってしまった紛争の連鎖、それを少し理解できそうな気がする。
理解できても、なんとも悲しいばかりだが……。
「宗教」と「信仰」は似て非なるもの。
世界中の宗教は、ひたすらに平和を求めているのに、なぜこうも叶えられないのだろう。